T クラリネット、そして歌(2)<合唱の魅力>
<2002.9.27>
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人間の身体も一つの立派な楽器である。管楽器や弦楽器と同じように、 |
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透明で自然な響きが求められる。そして、その響きが言葉を伴って、 |
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人の心の扉をたたく。そう、歌には詩の世界があり、聴き手に詩の |
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メッセージとして伝えることができる。これは私にとって大きな
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魅力であり、喜びでもあった。 |
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音楽は、人の心をおどらせ、人の心を揺り動かし、人の気持ちを |
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しみじみさせる、心温まるものである。聴いて下さる方々が、本当に
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楽しんで頂けるように、演奏者は最大の努力をしなければならない。 |
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それは、技術的なことだけでなく、音楽人として、社会人として、 |
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常に自分を見つめ、心身を豊かにしていくことが必要である。音楽 |
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(特に歌)はその演奏にそれらが投影されてしまうからだ。自己満足や |
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独断的な独り善がりの演奏にならないように。 |
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合唱を通して、宗教曲からポップスまですべてのジャンルの曲を歌って |
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いきたい。しかし、その反面、それぞれの曲を歌い分け、その歌の世界を |
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表現しきるのは至難の技であり、それが合唱の魅力でもある。 |
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そんな苦労が報われるのは、お客様に「仕事のことで落ち込んでいたけれど、
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平混の歌を聴いて、勇気がわいてきた、明日からまたがんばります」 そんな
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言葉をもらった時など、本当に嬉しい。先日、ピアニストの渕上君が
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こんな話をしてくれた。彼がピアノを教えていた年配の女性の方が、 |
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平混のファンであったが、病気になられ、入院中、平混のCDを |
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毎日のように聴いて下さり、お医者様の思っていたより、ずっと長生き
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なされたのだと・・・。その話を聞いた時、団員全員で涙してしまった。
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合唱は気心の通い合った仲間と、その音楽の心奥を聴いて下さるみなさまに、
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自分のすべてを託し、声にのせてメッセージとして伝えるものだ。それが
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伝わった時に、平混の合唱は虹色に輝くだろう。 |
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